「児童の主体的なコミュニケーション能力の育成」
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃には、我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環壊は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。また、急激な少子高齢化が進む中で成熱社会を迎えた我が国にあっては、一人一人が持続可能な社会の担い手として、その多様性を原動力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。
こうした大きな社会変化の中で、特に、急速に進展するグローバル化に対し、外国語によるコミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定される。
平成29年告示 小学校学習指導要领解説外国語活動・外国語では、『小学校中学年から外国語活動を導入し、「聞くこと」、「話すこと」を中心とした活動を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めた上で、高学年から発達の段階に応じて段階的に文字を「読むこと」、「書くこと」を加えて総合的・系統的に扱う教科学習を行うとともに、中学校への接続を図ることを重視すること』と、その導入の意義を示している。
そして、外国語活動・外国語それぞれの指導内容においては、言語を用いて相手や他者との主体的なコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知ることを指導していくことを示している。主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養うためには、言語活動を、児童にとって身近で具体的な場面設定の中で行い、「誰に」、「何のために」という、「相手意識」や「目的意識」をもって、必然性のある活動とすることが重要であり、多様な形態で学習活動が行われるよう配慮することが大切であることも同様に示している。
東京都小学校外国語研究会(以下、本研究会)では上記を踏まえ、「児童の主体的なコミュニケーション能力の育成」に焦点を絞り、本研究を進めていくこととした。
研究にあたっては、研修と授業研究の両面から進める。研修では、よりよい指導への還元を目的とし、学習指導要領に関わる理解を深めたり、専門的・先進的な実践について学んだりできる研修を、年複数回、設定する。授業研究では、ブロックを組織し、該当ブロック内でそれぞれ分担して研究を進めていくこととする。その際、「主体的なコミュニケーション能力の育成」に迫るため、児童の思いや教師の願い、児童の実態などを踏まえ、目指す児童の具体的な姿を設定するようにする。さらに、指導と評価の一体化の視点も踏まえ、どのような学びが必要であるかを明らかにすると共に、指導法のエ夫を具体的に提案するものとする。研究授業においては、その指導の工夫が、実際の指導場面において、いかに児童のよりよい変容をもたらしたか、どうすればさらなる変容へとつながるか等の視点から授業観察を行い、協議するものとする。これらの実践をブロックごとに行い、本研究会における全体の成果と課題を明らかにしていく。
本研究会では、このような一連の研究を通し、「児童の主体的なコミュニケーション能力の育成」を目指していく。