令和8年度 東京都小学校外国語教育研究会 研究概要
1 研究主題
児童の主体的なコミュニケーション力の育成
〜個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を目指して〜
2 主題設定の理由
(1)主体的なコミュニケーション力について
小学校学習指導要領(平成29年告示)の外国語の目標では、「学びに向かう力、人間性等」に関して、「外国語の背景にある文化に対する理解を深め、他者に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。」と示されている。
主体的なコミュニケーション力とは、コミュニケーションを図る目的・場面・状況等に応じて、目的や意義を意識しながら、また相手意識を働かせながら、自分の思いや考えなどを適切に表現する力であると捉える。それは、自己調整しながら粘り強く取り組もうとする態度も含み、コミュニケーションに必要な知識や技能を活用して伝え合う力を示すと考える。
(2)個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実について
中央教育審議会答申(令和3年1月)では、2020年代を通じで実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」に整理している。また、学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料(令和3年3月)によると、今後の教育の在り方について、学習指導要領において示された資質・能力の育成を着実に進めることが重要であり、そのためには学校における基盤的なツールとなるICTも最大限に活用しながら、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、子供たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」のと一体的な充実を図っていくことが重要であると示されている。
また、児童の実態に目を向けると、外国語・外国語活動に関わる児童一人一人の学習経験や生活経験は実に多様である。一斉での学習だけでなく、児童の実態に応じた個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実は不可欠である。
本研究では、その実現に向けた具体的な指導方法について明らかにしていく。
(3)研究の経緯について
令和7年度は、研究主題・副主題を「児童の主体的なコミュニケーション力の育成〜個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を目指して〜」として研究を行ってきた。また、主題に迫るための具体的な手立てとして「単元設計とその充実に向けた指導の工夫」「言語活動の充実」「主体的な学びの促進」について有効な指導法を検証してきた。得られた成果と課題を以下に示す。
• 単元設計とその充実に向けた指導の工夫
個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させていく学びの時間について、話すこと[やり取り]においては、様々な相手とやり取りする場面で取り入れることが有効であることが分かった。また、話すこと[発表]においては、発表に向けて内容を整理したり伝える練習をしたりしていく場面で取り入れることが有効であることが分かった。そして、一斉の学びにおいても、学習方法を選択して学ぶ時間を取り入れたり、思いや考えに合わせて既習内容を活用して表現したりできるよう支援していくことが大切であることが分かった。
• 言語活動の充実
学校生活における児童同士の関わりや児童と教員との関わりなど、児童が日頃の学校生活の中で抱いている想いを生かした最終的な学習ゴールを設定することが、児童の「自分の言葉で伝えたい!」という思いを膨らませ、言語活動の充実につながることが分かった。また、受信(インプット)の段階においても、目的・場面・状況を児童の本当の生活に即した話題にすることが、言語活動の充実につながることが分かった。
• 主体的な学びの促進
教師の適切な見取りによる形成的評価をはじめとし、児童自身がチェックシートを活用して学習状況を認知したり、学習の振り返りを通して学びを整理したりすることが主体的な学習調整の促進につながることが分かった。また、受信と発信の指導のバランスを取り、児童が自ら自信をもって発信(アウトプット)できるような知識・技能の定着を図ることも主体的な学びにつながることが分かった。
中間指導における指導のポイントや児童への価値付けにおける具体的な教師の支援については、今後も研究が必要であると考える。
(4)今年度の研究について
以上の経緯を踏まえ、本研究会における今年度の研究を以下のように進めていく。
<研究主題>
児童の主体的なコミュニケーション力の育成
〜個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を目指して〜
「児童の主体的なコミュニケーション力の育成」を図るために、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」を目指して実践をさらに積み重ね、効果的な指導方法を普及していくことを本研究会のねらいとする。それに向けた研修会と、2回の授業(モデル授業・研究授業)を設定する。研修会では研究主題に関わる最新の動向や先進的な取組、研究の方向性などについて学ぶことができるよう、講師を招いて研修をする。研修内容を踏まえた研究授業を行い、研究主題に迫っていく。
研究授業における研究の重点内容を以下に示す。
• 単元設計とその充実に向けた指導の工夫
児童の実態を把握した上で、単元のゴールに向けた「一斉の学び」と「個別最適な学びと協働的な学び」との最適なバランスや、「受信」と「発信」との最適なバランスを考えた単元設計、そして「個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実」させていくための指導の工夫。
• 言語活動の充実
児童がこれまでに積み重ねてきた学習を生かしながら、「自分の言葉で伝えたい!」という思いを膨らませることができる魅力的な言語活動の設定。
• 主体的な学びの促進
主体的なコミュニケーション力の育成を目指し、児童が自己調整を連続させ、粘り強く学習に取り組むことができるような教師の適切な働きかけや指導の工夫。